1月21日に開催した『パーラー公民館 大報告会』、60名を超える参加者が集ってくださいました。(なんと、中にはこの会に参加するために県外から飛行機で来られたという方も複数いらっしゃいました!)
まずは、鶴見部屋による唄三線と砂川政秀さんによる太鼓で『あけぼののうた』で幕開け!
次に、スタッフ佐藤・平良によるパーラ公民館の実施報告を行いました。
公民館の歴史とその機能、NPO法人地域サポートわかさでの取り組みとあわせて、私たちがなぜ、文化芸術による公民館的機能を地域で展開しているのか、また、パーラー公民館での活動やその意味、エピソード、後日談等をお話させていただきました。
次に、大澤寅雄さん(アートNPOリンク理事、ニッセイ基礎研究所研究員)から、パーラー公民館の調査に関する検証報告をおこなっていただきました。
客観的な調査検証したものを確認すると、肌感覚で感じていたことが数字・言語化されてすごく面白いです。
パーラー公民館についての評価や検証内容を、少しご紹介したいと思います。
【パーラー公民館の評価】
パーラー公民館は、地域にとってどのような意義や価値があるのか。
→日常の「憩い」と「交流」の場としての価値
こどもの「あしびな〜」と大人の「ゆんたく」
→住民の「教え」と「学び」の場としての価値
偶然性と恊働から生まれる「学びあい=教えあい」
→地域課題を発見し、連携を促す媒介としての意義
「身近な課題に向き合い、自発的な協力者を誘引」
【パーラー公民館の検証】
パーラー公民館が、公民館の最も基本的で重要な機能である「つどう・まなぶ・むすぶ」の3つをどのように果たしていたのか。
→子どもが安心して遊べるつどいの場、高齢者が地域の歴史を語り合うつどいの場となった。異世代が交流し、互いを見守る関係が生まれた。
→公民館を利用し、住民が自主的にまなびの機会をつくった。公民館が企画したワークショップを通じて、他者との恊働からまなぶことができた。
→普段は異なる分野の団体や機関をむすぶことができた。また、普段は出会うことが少ない、異世代や異文化をむすぶことができた。
後半は、「公民館のあたらしいカタチvol.2」と題して、小山田徹(美術家)、古賀桃子(NPO法人ふくおかNPOセンター)、宮城潤(若狭公民館)による鼎談形式でのトークをおこないました。
会場にはパーラー公民館館長・上原さん、曙小学校校長・真喜志先生、子ども食堂・玉寄さんもいらしていたので、ご紹介とそれぞれに感想などもいただきました。
その後、ゲストのお二人にも自己紹介とパーラー公民館について、それぞれに感想をいただきました。
小山田徹さんは、京都市立芸術大学大学でもお仕事をされながら、共有空間づくりをおこなっている美術家です。
たき火や屋台の“ついつい集っちゃう”、“自己紹介がなくてもおしゃべりが生まれる”という効能があって、シェルター(傘)の下に潜り込んで集うと、たき火と同じ効果があると話す小山田さん。
パーラー公民館をパラソルと黒板テーブルの形態にしたのも、こういった自然と生まれる共有空間づくりを意識してのことでした。
古賀桃子さんは、NPO法人ふくおかNPOセンターの代表をされており、NPOや市民活動・地域活動等、地域の民間非営利活動の普及と発展をサポートする活動をされています。
今回、パーラー公民館の実施・検証報告を聞いて、ユルいようにみえて、運営の強かさを感じるという嬉しい感想をいただきました。
1分動画や評価に関する活動についても触れていただき、嬉しかったです。
そして、早速レポートもしていただいています!すごい!!ありがとうございます!!
途中、『曙と公民館について考える会。』でファシリテーターとして関わってくださった宮道喜一さんから当日の様子についてご報告もいただき、話題は“今後のパーラー公民館について”へとひろがっていきました。
フロアからは、“パーラー公民館でオープンな場だからこそ生まれた偶然性は、規模が大きくなってハードができるとその偶然性が低くなるのではないか、共有空間の視点で何を残すべきなのか?”という質問をいただきました。
それに対し、小山田さんからは残すべきことは今のこの気づきではないかと反応がありました。
建物ができてもできなくても、根本的な問題に変わりはなく、せっかく生まれたモノがなくなるんじゃないか、というこの感覚をどれだけの人が持てるかが重要ではないか。
そして、過去に面白い経験を持っている人や、アイディアを持っている人が突破口になりうるのではないかというお話もされていました。
次に、“パーラー公民館で実験的に行ったことは、現在ではなかなか規制があって実現しづらいことに対するヒントになりうるのではないか”という感想をいただきました。
屋外でこれだけできちゃうなら、室内でもこんなことできるよね、というアイディアのヒントになるかもしれません。
きっと、トークの間中、参加者の頭の中では、いろんなアイディアの妄想がひろがっていただろうと思います。
パーラー公民館館長・上原さんからは社会教育・生涯学習、人財育成の重要性について熱いメッセージをいただきました。
上原さんのメラメラ燃える熱い思いは、会場中に伝わって、みんな自然と笑顔になっていたことがすごく印象的でした。(小山田さんもこの笑顔☆)
最後に、他者と一緒につくる「よろこばしきモノ」は、人を動かして行政も最終的には国も動かすだろうと、小山田さん。
また、地域の中でも”ナナメの関係”づくりが大切で、パーラー公民館にはそのヒントがあるだろうという言葉を古賀さんからいただきました。
長時間の会ではありましたが、非常に充実した時間であったと感じています。
参加・協力くださったみなさま、調査検証報告をいただいた大澤さん、登壇いただいた小山田さん、古賀さん、本当にありがとうございました。
これからがもっともっと大事な時間だと思っています。
今後とも情報やアイディアを共有しながら、楽しい、よろこばしきことに溢れる地域をみんなでつくりましょう!!
「パーラー公民館」
企画:NPO法人地域サポートわかさ
設計・監修:小山田徹
制作:High Times うえのいだ
支援:沖縄県、公益財団法人沖縄県文化振興会
「平成29年度沖縄文化芸術を支える環境形成推進事業」