第11回 富岡鉄斎を読み解く!

第11回のアート同好会は1月12日に開催しました。
今回のテーマは、「富岡鉄斎」を取り上げました。

富岡鉄斎は江戸初期に生まれ、明治時代を生きて大正13年に亡くなりました。大正時代になると洋服を着たりして生活スタイルが変わっているはずなのに、鉄斎は白くて長い髭を生やしていて、もっと古い時代を生きていたように見えます。

文人画家と言われる人で中国の教訓や哲学などの古い考えも大切にしていました。文人画家とは、絵や文を書く人のことだが、そう名乗るにはすごく頭のいい人じゃないとできなかったそうです。

wikipediaより
鉄斎の作品には、絵と上の方に漢詩のようなものが書かれています。書画一致と言って、書の部分と画の部分が一致している=価値が同じであるという考えを持っていて、絵だけ見たとしても半分の価値しか見たことにならないとして、私の描いたものを見る場合には、「賛」(上の文章)を見よと言っていたそうです。
『仙縁奇遇図』という作品を例に見ると、下から山を登っていくと出会いのシーンがあり、さらに登っていくと寺があります。道で会った人は登っているのか降っているのかどうかはわかりません。幹の表現が生き生きとしていて見事です。
近代絵画の父と言われるポール・セザンヌの絵を当時見た人は変な絵だと思ったんじゃないかと土屋さん。果物がごろごろと転がりそうだったり、腕が長く膝まで伸びていたり、耳が大きすぎたり、形がゆがんでいたりします。色が塗られていない部分を残したまま完成にしている作品もあります。
そんなセザンヌが好きな人は鉄斎が好きだという人が多いそうです。鉄斎の作品を見て、「まるでセザンヌじゃないか!」絵が歪んでいて、不明瞭な部分が多いところが!
二人の絵は似ていると思われたそうです。というのも当時日本で描かれていたのは横山大観などの丁寧に描かれた絵画だったからです。鉄斎と大観を比べたら、鉄斎の方がセザンヌに近いですよね。
「鉄斎の作品は、筆のタッチが生き生きとしていて、わさわさ〜っと絵が動いているように見えない?」と土屋さん。
セザンヌの作品もわさわさしています。大観は・・・わさわさはしてないかな?鉄斎の作品の方がセザンヌに似ていて新しいと思われたというのは、作品を見比べてみるとわかります。
写真でもいいから作品を見ると実に瑞々しい様子を見ることできます。画集でもネットでも良いので、ぜひ作品をみてみてくださいとのことです。画集では、賛の意味も確認できますよ。
鉄斎は古い中国の価値観に合わせた知識人でした。作品に描いているのは驚くことにオリジナルではないそうです。中国の絵画をみてみると、似たものがたくさんあるとのことです。古く見えるかもしれないけど、ドローンを飛ばして描いたような高いとこから俯瞰してみている絵があったりします。今と結びつくことを昔々にやっていたのです。
技術は時代に合わせて発達していきます。新しいものがいいものだと思うかもしれないけど、時間の転倒や、時間の系列がいったりきたりすることもあるそうです。
古い時代から新しい時代へと順番に進むほど実際は単純じゃない。新しい時代が300年前と似ているなんてことも起きているというのです。
美術作品にもそんなことが起こっています。
「時間がある時に鉄舟の作品見てみてね!すごく面白いから。こんな時代にこんな人がいたのかという学びになるよ。」と土屋さん。
今回のアート同好会はここでおしまいです。
主催:NPO法人地域サポートわかさ
「アーティストと開発する社会教育プログラム」
支援:沖縄県、公益財団法人沖縄県文化振興会
「令和3年度沖縄文化芸術を支える環境形成推進事業」