繁多川公民館『ハンタガー島くとぅば会』

地域の言葉を残そうという地域のニーズからスタート。公民館講座のあとサークルが結成され、わきあいあいと楽しい交流を続けています。全員が主役になる三分間スピーチを核として、ウチナーグチの継承に励んでいます。

公民館名 繁多川公民館
サークル名 島くとぅば会
代表者名 波平元維(なみひらもとしげ)
活動人員 12~13名
設立年月日 平成25年
活動日・時間日 木・10:00~12:00

サークルの活動内容を教えてください。

<ぴーちく、ぱーちく、島の言葉を使おう!>
二年前に立ち上げました。専門的な勉学というよりも、自分たちも楽しみながらできることを したいとおもいました。遊び心で、自分たちが楽しまなければ長続きはないですから。
日々楽しみながら、ぴーちくぱーちく楽しくやろうと繁多川の地域の人に声をかけました。わたしは長寿大学にも通っていたので、その関係者にも声をかけてスタートしました。立ち上げ は18人。いまでも13〜15人はいます。7割は当初からのメンバーです。

<3分間スピーチで、全員が主人公になる>
会は二時間ぐらいです。はじめに私がひとこと挨拶して、それぞれの3分間スピーチがあります。旅行、奥さんのこと、孫や政治の話まで幅広く自分の島の言葉で語ります。
その後何名かで、程順則(名護親方)の沖縄の黄金言葉を音読して、意味を説明、反復する。
毎回復唱しています。講義するのはなし!何か得意なことがあるはずですから、その特技を引き出して、発表してもらいます。民話の紙芝居をつくって発表していただいたり(新城氏)、女性軍団が民話を発表したりと、20分くらいの時間で何かそれぞれの特技を披露してもらったり。犬・動物・植物など、わからない言葉をみんなで言い合って調べたり。みんなが先生という感じです。
講義をうけるとどうしても受け身になってしまいますから、できるだけ主体的に取り組んでも もらうように工夫しています。

サークルの魅力は?

<うちなーの言葉にある奥ゆかしさ>
昔使っていた言葉に馴れ、親しんでいくということ。島言葉というのは標準語にあらわせないニュアンスがあります。人のこころをさわやかにして、豊かにしてくれる。そんな味わいを楽 しんでいます 「肝ぐくる」とか「ちゅらかーぎー」などの言葉には、奥ゆかしさがあります。

サークルの雰囲気をお教え下さい

楽しい雰囲気です。

サークルの参加メンバーはどのような年代が多いですか

参加者は若いのは50代〜60代、70代、80代。50代に英語の先生がいますよ。
40代で参加している方は、おばあさんと会話したという思いから参加してきました。若い人たちがおばあさんとコミュニケーションしたり、会話できなくなっているということですね。

サークル参加メンバーの地域はどちらですか(公民館付近か)

繁多川のメンバーだけでなく、大和からの参加者もいます(英語教諭)楽しんでいただいています。

メンバーとはサークル外での交流もありますか?

<史跡を訪ねるフィールドワークも活発です>
年に何回かは地域へ出かけていきます。地元にある沢岻親方(もーいうえかた)のお墓を訪ねて、説明を聞いたり、2、3月には宜野湾の平和のことを学んだりします。できるだけうちな ー口で説明をやろうと実践中です。

今後の活動について

<人との繋がり、ネットワークを深めたい>
フィールドにでて、地域の案内をしたり、人との繋がりを深めていきたいです。年に二回くら いは外にでていくことを継続したいですね。

島言葉

取材者名 波平元維
活動歴  2年

サークルに参加したきっかけをお教えください

<土地の言葉を使うことに故郷の温もりを感じた>
現知事が那覇市長時代に島の言葉を見直して使おうという運動がきっかけです。
昔は三世代で暮していた人が多かった繁多川地域。沖縄の言葉を使って生活していた時代がありました。島の言葉には懐かしさがありましたね。沖縄の言葉を残すために広める努力はしないといけないとはじめたのです。もともと自治会長など地域活動に取り組んでいた波平さんがまわりの人に声をかけ、サークルがスタートしました。

サークルを続けている理由/たのしいところをお教えください

<遊び心で、会話のキャッチボール>
一生懸命勧誘すること。一生懸命教えて輪を広めていくこと。楽しくやれば集まってくると思うんです。文化発信にもつながると思っています。青年会だと取り決めが厳しく諦めてしまうことも少なくないので、石嶺町伝統エイサー会では、楽しくエイサーをするということを第一にしています。

サークルでの目標やモットーにしていること

<率先して島言葉を使おう>
日常生活のなかで家庭では大人だけでも、うちなーぐちで会話したいというのが夢です。70
代の夫婦がおうちで島言葉を使って実践していると、会話が弾むというほほえましい声もありました。
私自身は乾杯の挨拶などは、うちなーぐちでするようにしています。挨拶をたのまれたら、半分はうちなー口をつかうようにしています。率先して島言葉で会話をしようと思います。

公民館を利用して便利な所

<公民館に情報が集まる、そして人が集まる>
公民館という箱ができたときに、大変に喜びました。公民館はいろんな人が集まりやすいと思います。自治会は地域の人しか受けいれないというような感じがあります。市の図書館、市の公民館というのは公的な機関なので行きやすいですよ。引っ越してきた新しい人たちとも仲良くやっていくことができます。繁多川の住民の85%は、新住民と言われています。新しく入 ってきた人たちを受け入れていかないと将来的に発展はしない。
公立公民館ができたということは集まりやすいし交流になりますよ。地域が、行政の情報をうけて、刺激をうけていると思っています。
公民館は情報が速く入ってきます。すばやく情報をキャッチすることで、繁多川のマップをつくるための申請に役立ちました。3000部つくって全部に配布しました。それは情報が速いか らできたことです。

公民館を利用して改善してほしいところ。ここを良くしたらいいのにと思うところ。

<24h公民館という発想>
利用時間が夜9時までということになっています。昼来れるひともいるけど夜もあければもっと利用者が増えるのではないか。ゆるやかに、せめて夜10時とかできないかなと思ったりしますね。
NPOでやっているので臨機応変にできるようになっているので満足していますが、夜9時までの発想は官公庁の発想だと感じるところもあります。いろんな人がいるから利用できるようにしてもいいのではないか。極端なこというと、24時間公民館とかね。発想をかえてもいいのではないでしょうか。

<地域のすぐれものを認定>
島言葉だけにとどまらず地域の人財バンクを発掘するという取り組みもしています。「すぐりむん」これは私が自治会長時代にやったことなんです。生き甲斐のある町づくりにしたいと、誇れるものを探して認定しました。人財バンクのようなものですがネーミングをうちなーぐちでつけたいと思いました。誇りをもって讃えるような言葉はないかなとメンバーに聞きました。島くとぅばをやっているひとに相談したら、「あんしぇーやー、すぐりむんやましあらに」(それならすぐりむんっていうのがいいんじゃないか)と教えていただきました。

★マーサムンチクヤースグリムン(料理上手な人)天ぷらなどおいしいものを作って差し入れしてくれる方を認定。
★ナーファヌハタフヤースグリムン(那覇の旗を振る地域のリーダー)これは市長のことです。
★ムヌシリスグリムン(歴史に詳しい人)
★ヤマキジャーサースグリムン(冒険心のあるひと)

「すぐりむん」より自分は「フリムン」でいいよという方がいて、ひとりだけフリムンということはできないから、名称も愛嬌のあるように工夫しました。 これまでに30以上のスグリムンを生み出しています。
人物だけではなく、識名小学校で大豆の収穫、豆腐づくりをしたり。自分の地域のスグリムン認定をしていますよ。年をとっても、地域の何かに役に立っているということがうれしいはげましになります。

<故郷の文化への誇り>
ハンタガーの言葉は首里の言葉の流れがあるんですよ。首里の次男三男が繁多川で屋敷を用意して暮らし始めたといわれています。識名とはすこし違うんですよ。世代によっては全く島ことばをしゃべれない世代もいます。方言札の時代もあり学校ではよそ行きのしゃべりかたしていました。でも、みんな家に帰れば、島の言葉を使っていました。

取材日:2015 年12月22日担当:鳥越一枝