ユニークなプログラムづくり講座step2 その②

ユニークなプログラムづくり講座step2のレポート後編です。

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第2部 社会調査を使う

幻想を捨てる
「調査によってニーズ把握ができるというような思い込みは捨てましょう!」の言葉に、はっとしました。
安易にアンケートをとってみても実態があまり見えてこないことはよくあること。ある程度厳密に調査をしないと結論には至らないのは、当たり前のことですが何だかついつい調査したことで見えたような気になるのは落とし穴かもしれません。

専門家を頼る
第1部でもお話があったように、調査は確かな事実を探り分析して結果を出すことが重要です。その分析は、やはり専門性が求められるので、専門家を頼ることが一番。
厳密に調査をするには専門性が必要になってくるので、質問文のつくり方に関して注意しなければいけないことがあります。
例えば、ひとつの質問文に複数の質問が入っていたり、回答を誘導するような質問はしてはいけない、など。なるほど〜。
また、調査対象者に対して謝礼を出すことができない場合がほとんどなので、協力者に負担をかけるものでもあるということも理解しておくことが必要で、本当に必要な調査を行うことが大切なんですね。

現在はインターネットも普及しているので、比較的簡単に自治体HPなどから検索して統計資料を利用することが可能です。様々なリサーチ会社などもありますが、例えばインターネット調査などは、比較的若い世代の意見が多いのですが、高齢者の意見が反映されにくいことなども考えて活用することも大切だそう。
必要に応じて、自治体、大学やNPO等のHPから調査結果を参考にしたり、その道のプロに頼ることは必要ですね。

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社会調査の視点を参考にする
社会調査の視点として、代表性・再現性・妥当性・必要性の4つについて説明していただきました。

代表性・・・どれだけ一般化できているか。サンプルの偏りを意識する。
再現性・・・同じ調査を繰り返しても、どんな方法で調査しても同じ結果がでるのか。
妥当性・・・本当に知りたい事柄が調べられているか。
必要性・・・本当に必要な調査なのか?

例えば、地域住民が公民館にどれくらい興味関心を抱いているのかを調べるにあたり、公民館利用者を対象にした調査では、偏りが出てしまいます。それは、地域住民がまんべんなく公民館を利用しているわけではないので、利用者の公民館へ期待している内容というのが地域住民を代表するということにはならないことを理解しなければいけないのですね。

また、公民館の満足度調査などは、人間心理なども考慮すると妥当性が低い場合が多いので、より詳しくインタビューするなどして、別の意見(声)をひろうことで見えてくるものもあるのは、とのこと。

そして、4つめの妥当性。これ、大事なことだなと思ったのですが、調査というのは調査対象に何かしらの影響を与えてしまうことも意識する必要があるということ。質問されるということで、曖昧だったものが調査によってはっきりしてしまうこともあります。
例えば、生活保護について今まで考えていなかったが、調査を受けることで自分の意見が確立してしまう。
一方で、介入的な影響を及ぼすということをポジティブに捉えて調査を活用することも可能ではないか、というお話は調査の面白さを表しているなと思います。はっきりとはしていないけれど、スイッチを押すことで出てくるニーズの掘り起こしも可能かもしれない。ニーズを生み出すためにニーズを調査する。潜在的なニーズを掘り起こすための調査と考えると、調査って面白いですね。

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コミュニケーションとしての社会調査
もうひとつ、調査の面白さにはコミュニケーションになり得るという考え方でした。
自分で書いてもらうよりも、調査員が直接書き込むという調査の場合は、コミュニケーションに繋がるとも考えられるのだそうです。また、そういった方法での調査では、さらに多くの情報を得ることもでき、そう考えると、公民館の事業実施自体も調査につながると考えられる、という考えは事業を考える上で新たな視点になり得ますね。

仮説→事業(=調査)→発見(=分析、結論)
一方的な提供ではなく、実施することで初めてわかること、教わることなどの発見がある。その中に社会調査であるという視点で事業を行うと発展的な気づきがあるのではないかと、渡邊さん。

確かに、事業を行うことで、様々な声が聞き取れます。公民館には毎日本当にいろんな人、たくさんの人が訪れますし、事業実施時には普段とは違う新しい利用者さんも訪れます。利用者さんから様々な声が聞けるという場であるということを意識すると、公民館は社会調査の現場とも捉えられるのは面白い視点だなと思います。

最後に、調査を行う上で倫理的な問題とされた社会調査の事例をあげていただきました。調査と言えども、倫理的に問われるような方法、調査後のトラウマが生じてしまうようなものが実際にあったことを踏まえ、調査を行うにあたって倫理的問題を踏まえて、本当に必要なものなのかの判断はとても大切だなと感じました。

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レクチャーの後は、参加者のみなさん自身が実際に企画している(または実施した)事業等についてお話してもらいながら、社会調査の視点から渡邊さんにご意見いただきました。
ついつい、事業を実施した後の振り返りや評価は、仕事に追われて後回しになりがちですが、実施後に出てきた意見(声)や、実施前と後での企画内容のズレ等を確認していくことで、さまざまな問題が洗い出されたりもしますよね。社会調査の視点から、分析をしたりすることでこれまで見落とされていたものが見えてくるものがあるのだな、とディスカッションを通していろいろと考えることができる時間でした。

ユニークなプログラムづくり講座は4回の連続講座です。
次回は各参加者のみなさんが企画しているプログラムについての相談会を実施します。
その後、企画したプログラムについて発表を行います!!

ご参加くださったみなさま、そして講師の渡邊さん、本当にありがとうございました!!