牧志駅前ほしぞら公民館『プロジェクト未来なはムムヌチハンタープロジェクト』

「若者の絆」をコンセプトに、ご当地ヒーローのキャラクターで地域の活性と社会貢献活動をおこなっています。サークルの日は練習を主にしていますが、こどもたちの居場所づくりのねらいもあり、それぞれの交流の場となっています。

ムムヌチ

公民館名 牧志駅前ほしぞら公民館
サークル名プロジェクト未来なはムムヌチハンタープロジェクト
代表者名上原堅次郎(うえはらけんじろう)
活動人員  12〜13名
設立年月日平成25年
活動日・時間日火・18:00〜21:00

サークルの活動内容を教えてください。

<ムムヌチハンターのコンセプトは若者の絆>
現在の活動はキャラクターショーです。毎週火曜日夜6時から9時に練習をしています。いつも基礎運動を中心に練習しています。現在は構成も若者たちでやっています。大人は事務局としての対外的な交渉は上原さんがやっています。

はじめのころは、大型プロジェクターを使って、PCの絵を映すデジタルの紙芝居という内容。プロットは上原さんが考えてつくり、デザインについてはロゴ、ギャラデザインなど県内の学校へ公募をしました。約300点の応募があり、受賞メンバーの多くが真和志高校の生徒でした。そのメンバーを中心にスタートしました。

二年目に新らたな出会いがありました。那覇商業高校の生徒たち(商学研究部)とコラボすることなったのです。商学研究部が企業とアイスクリームの商品開発をするという計画があり、そのキャラクターがムムヌチハンターです。
ヒーローのキャラのパッケージをつくり、CM的な大型紙芝居を作りました。実際にイベントで上映しながら、アイスクリームを販売するということもやりました。

三年目にキャラクターショーを立ち上げました。石嶺児童園で子どもたちが子どもたちを楽しませる。那覇市から地域福祉基金(100万円助成金)をいただいてこともあり、衣裳、機材を揃えてスタートしました。

ムムヌチハンターコンセプトは「若者の絆」ということなんですよ。
ムムヌチハンタは那覇の旗頭の衣裳のことです。旗頭は最終的には一人でもつけど、立ち上げるときは大勢の人で支えているんですよ。いい意味での美しい絆、チュラゆいシンカーといっています。お互いに支えあおうという気持ちがムムヌチハンターに込められています。
コンセプトは戦隊もので、設定上は5人(旗頭 エイサー 獅子舞 綱挽き ハーリー)現在は 旗頭、エイサー、ハーリーの3ヒーローでやっています。それぞれ那覇を代表する伝統をモチーフにしたヒーローです。どれも若者たちが支えている。しかも一人ではなく、みんなで支えているものです。

全部チームやだれかと一緒にやるもの。自分たちはひとりではないということ、仲間がいるということを伝えたいです。

サークルの魅力は?

<社会貢献をしていくことだとおもいます>
ショーだけでなく、いろんなボランティアとやっています。自分たちの機材をもっていますので市民の主催イベントなどへ参加したりします。

那覇こどもフェスタというのがありますが、僕らはそこで舞台関係を仕切っています。舞台監督、サブの助監督、進行、音響などをメンバーリーダーとなって、ボランティアのみなさまと一緒に運営します。単なるショーではなく、社会に貢献する活動をしていくということ。

サークルの雰囲気をお教え下さい

<帰れる場所があればいい、居心地のいい場所に>
2013年は30名いました。中学からはじめて主力メンバーが高校生でした。
部活に近い感覚です。僕らはいい意味で先輩後輩の関係を作りたかったのです。楽しみながら、役割分担があり、なによりも交流できればよかったです。
いま、いろんなところで居場所つくりやっていますけど。若者たちと関わっていると、自己肯定感がないとか、以外と居場所のないこどもたちがいました。家庭とかも居場所になっていない子どもたち。家庭環境として、本来だったら、受け入れてくれるべきことが、家の方からのプレッシャーがあったりして。それが悪循環になっていた子がいたんですよ。
ここにいけば、落ち着ける。だれにも攻められないという場所。何もしないで帰って行く子どもたちもいるんですが、それでいいんですよ。居場所があるというだけでいいんです。そういう場所が必要なんですね。

サークルの参加メンバーはどのような年代が多いですか

<自己肯定感を高めるためのアプローチ>
いろんな問題を抱えている子どもたちがいます。遊び非行系もいますがそれ以外の要因で、引きこもっている子どもたち、発達障害の子どもたちがいます。
知り合った中に自己肯定感が低い子どもがいました。そういう子どもは一番大変です。いくらこちらがアプローチしても「自分はだめな人間だ」と否定的に捉えているので、なんの効果も得られない。
なんとかしたいので、このような子どもたちへの有効なアプローチを考えていました。元来ヒーロー物がすきだったこともありますが、ご当地ヒーローを結びつけて、子どもたちの力でこのご当地ヒーローを生み出してはどうだろうかと。やりたい気持ちがあれば、顔出しがだめでもなんとかできるんじゃないか。ショーでお客さんに喜んでもらう。そこから必要にされている感覚が芽生えることが大事だと考えました。
サークルの活動は12〜13名。最初は30名でスタートしたのですが。主力メンバーが中3でしたので、人数が段々と少なくなっています。
年齢がどんどんスライドしていくので、若いメンバーの高齢化の問題があります。
新規メンバーの募集をしようと、ポスター、チラシをつくってありまして、年度内に那覇市内の小中学校に配布してメンバーを募集します。

サークル参加メンバーの地域はどちらですか(公民館付近か)

スタート時は那覇市の取り組みだったこともあり、那覇のメンバーでした。練習も真和志庁舎を使用していましたが、現在はほしぞら公民館へ移動しました。公民館付近ということはありません。

メンバーとはサークル外での交流もありますか?

年に一度に合宿はしています。定期的に忘年会等もあります。特撮や演劇好きのメンバーは、それぞれに話をしています。興味がある子たちなので。
気をつけているのは、先生と生徒の関係にならないこと。階級をつけたくない。しいていえば、リーダーとサブリーダーの2人だけです。みんな仲間だよ。仲間という意識だけです。

今後の活動について

<今後の展開>
展開としてはいろんなことをしたいです。ショーもそうですが、紙芝居、商品開発とかいろいろやってきていますが、いまはできていないので、そういうことをやっていきたいです。
メンバーもそれぞれ成長しています。リーダーはNEO 空手、 NEO エイサーに参加し、さまざまな活動をはじめています。エンターテイメントを支える仕事については、なかなか後継者が育たない部分がありますね。沖縄で必要とされていながらにして劣悪というか、いい環境がない。これからエンターテイメントをさらにやっていく中でレベルもアップしていなかないといけないのですが、そのための専門学校は本土にしかない。結局、人口を流出させないといけない、それが帰ってくる補償もなく、学ばせないといけない。そういったところを変えたいとおもっています。10年、20年先まで考えた話ですが、やってみたいことです。
専門的な知識を持った裏方さんが少ない。経験不足で話をしているので。裏方の世界も、キャリア形成ができるようにならないといけない。いまの状況は本土の方々がはいってきて、地元でできることも吸い上げれてしまうということになります。
産業の構造的なこともありますが、教育だけの問題では解決できないです。
今が存続の危機です。8年つづけてきた秘訣。今初期メンバーの力が大きいです。上原さん40歳と玉那覇さん25歳がタッグを組んでいる。私は公民館に4年いたので、いろんなかたちの関わりがあります。

 

ムムヌチin

取材者名 上原堅次郎さん(代表)
活動歴  8年

サークルに参加したきっかけをお教えください

<設立までの流れ「プロジェクト未来なは」>
平成19年ごろ、上原さんは那覇市の教育委員会総合青少年課に在籍し、青少年育成事業に取り組んでいました。「プロジェクト未来なは」というネットワーク団体をつくり、那覇市内を中心に活動する若者たちの力でイベントをやったり、まちづくりに活かしていこうとう取り組みでした。若者のまちづくりとしてローカルヒーローをつかったてはどうかというアイディアがあり、取り組みをはじめました。青少年課では問題を抱えている子どもたちなど、いろんな立場の子どもたちとかかわります。子どもたちの活躍の場をつくり、若者自身でその成果を地域に還元していくという試みがローカルヒーローを使ってやることでした。「プロジェクト未来なは」はボランティアの団体です。立ちあげ時のメンバーは私の周辺の教育委員会の有志を募りました。なんの予算もついていないですが教育委員会のバックアップをいただいているという形でした。

サークルを続けている理由/たのしいところをお教えください

<子どもたちと関わることは未来への投資>
私にとってはライフワークという位置付けです。
僕は下の子たちを育てることに喜びを感じています。彼らの活躍を見てほくそえんでいるというパターンです。それが僕の楽しみです。それは投資なのですよ。未来を作ることになります。そういう考えでやっているのでお金に関係なく、この活動を展開してほしいです。

サークルでの目標やモットーにしていること

<自分たちで考えて自分たちでやる>
自分たちで考えて、自分たちでやるというスローガンがあります。ひとことでいうと、「自律する」ということ。大人が指導をすることはほとんどないです。要所、要所、はリーダーがやるんですよ。現在リーダーは玉那覇さん25歳。彼は初期のメンバー。副リーダーは知念さん20歳。少しあとからはいったメンバーですが、頑張っています。

公民館を利用して便利な所

ほしぞら公民館ができあがるというので、利用団体として申請しました。
その前は真和志庁舎で活動していました。真和志庁舎の閉鎖でほしぞら公民館へ活動場所を移動しました。

公民館を利用して改善してほしいところ。ここを良くしたらいいのにと思うところ。

<商業施設にある立地を、活かしきれないジレンマ>
現在の公民館はがんばっている人たちがおおいと思います。ほしぞら公民館は商業施設の中にありますので、利用者など商業的なところと、教育的なところの折り合いがつけにくいのが微妙な関係だと思います。企業さんが使うにはハードルがあります。公民館が教育施設としてあるので、企業のメセナの考え方に関わりが難しいというのが、どうしてもあります。それでコラボができにくいとい事になり、何かするときのネックになったりしているように思えます。

<社会のコミュニティは民俗学と通じる>

大学では民俗学を学びました。教育とか関係ないですが、僕は公民館にも4年くらいいて、NPO の方たちと関わっていました。今でいう市民協働ということを役所の入庁からずっとやっています。役所の仕事はサービスではなく、仲間だという気持ちです。
民俗学では結局のところは信頼関係をつくることが先なので、信頼関係があってはじめて物事の裏をみせてくれるという。コミュニティづくりはそういう信頼関係につながりますね。

取材日:2015 年12 月22日担当:鳥越一枝