牧志駅前ほしぞら公民館
『ロボロボの会』

平成22年、沖縄で『ロボカップジュニア』が開催されたことをきっかけに結成。メンバーは小学生から高校生までロボコンに興味のある子どもたちが参加しています。


公民館名牧志駅前ほしぞら公民館
サークル名ロボロボの会
代表者名今井俊二
活動人員15名
設立年月日平成 22 年(2010 年)
4月18日
活動日・時間日毎月第 1・3日曜日
13:00〜18:00

サークルの活動内容を教えてください。

2010年4月18日に始めて久茂地公民館で RCJJ(ロボカップジュニア)という大会が沖縄地区で初めて開催されたのがきっかけです。RCJJ は全国で開かれている大会です。今年は愛知、去年は尼崎、その前は埼玉で開かれて、結構長いこと続いている大会です。11年は続いていると思います。私は沖縄ブロックの理事を勤めています。
沖縄のレベルはまだ予選突破できるまでも至らないです、残念ながら。小学生のロボコンの歴史はまだ最近始まったばかりで、ここ5年くらいですね。

ロボロボの会HP http://www.roborobonokai.jp/
ロボカップジュニアジャパン http://www.robocupjunior.jp/
http://www.miyakomainichi.com/2014/03/61049/

サークルの魅力は?

<個性の塊>
ロボットは個性の塊なんです。親がサポートするにしても、自分で設計してるので、性格がでますね。その辺のところを上から押さえつけるようなやり方ではなく、何しても構いませんという風にやらせてるのがいいんじゃないですかね。何もないのが良いって言われます。
自分で決めたことが目の前で実際に動く、というのは魅力だと思います。

<どうするかは自分で決める>
体験用のカリキュラムはあるんですけど、その後センサーが増えていくと個別対応になってくるんですよ。センサーによってはロボットの動作が変わってきてしまうので、一変通りの教え方ではうまくいかないということも出てきます。
例えばあの、緑色のやつなんかになってくると、もう何してるかわかんないです(笑)「何か動かないなぁ」と言われても、「それは君しか分からないよ」っていう世界ですね。
ロボットはプログラミングした通りにしか動かないですから、動かないということは、何かが間違えているということなんです。それはひとつひとつ確認していって、原因を探すしかないんです。どこまで論理的に構成できているかが大事なんです。あとは、こんがらがったら一番シンプルなところに戻して組み立て直すということですね。根気強く。どうしても年齢が低い子たちはだぁーっとやってうまくいく時は良いんですが、うまくいかない時に、うまくいった時との比較ができないんですよね。問題を探すために辿っていくのを面倒臭がるので。よくあるのが、「センサー付けたけど動かないです」という場合、 「センサーを付けてどうしたいの」って聞いたら「どうしたらいいんですかね」って答えるんですが、「それは君が決めるんだよ」って話すんですね。動かす目的がないことにはプログラミングはできないんです。

サークルの雰囲気をお教え下さい
<ロボコン>
1月30日に予選会がありますが、未来工科の学生さんたちや高校生も来て、対決します。
ロボコンには、工業高校とか高専くらいのレベルまであると参加できるんです。
サッカーとレスキューの競技があります。ロボロボの会では現在、レシュキューの方が4名、残り 11 名がサッカーに取り組んでいます。
レスキューは、白線の上に黒いラインが引いてあってですね、それをなぞるように進んでいって、最後に銀色の玉(被災者)を助けるという競技です。いかに早く到達したかを競い合う競技です。1台でタイムトライアル形式です。
サッカーの場合は敵味方という風に、2 対 2 で自陣と相手方に分かれて点数を入れ合うというルールで分かりやすいです。自立型のロボットで、スタートボタンを押したらロボットの中のプログラムで進んでいくので、リモコンはないですからラジコンとは違います。

<沖縄での認知度>
沖縄は組織として小さくて、全国に関西・関東と大きなブロックがあって、そういったところは競技人口が多いんですけど、沖縄はその1%くらいしかいないです。だいたい20名くらいです。そのうち15名くらいがロボロボの会のメンバーですね。
なかなか広がらない理由はいくつかあって、ひとつは学校の部活として認知されていないことがあります。

サークルの参加メンバーはどのような年代が多いですか

小学生3年生から高校1年生までの年代が入会しています。メンバーの中で女の子もいて、お兄ちゃんが入会したので、それで興味を持つようになって参加しています。15 名中、他14 名は男の子ですね。

サークル参加メンバーの地域はどちらですか(公民館付近か)

地域は、那覇から本部です。南は那覇で、北谷、沖縄市、本部などから通われています。今のところ、残念ですが、ロボットの部活というのが県内にないんです。時々学校の先生が見学にいらっしゃることもあります。子どもが先生にロボロボの会のことをお話して、それで興味を持ってきてくれる方はいます。今、小学校6年生の子がいますが、その子が来年中学校にあがったときに、ロボットの部活を立ち上げてもらえるかもしれませんね。
中学・高校でロボコンの部活があるところはあります。アミークスや私立系だとあるみたいです。あと工業系だと確実にありますね。小学校だと、どうしても先生が顧問でつかないといけないので、新しく部活を立ち上げるとなると、誰が顧問をするかという問題が出てきます。あとは、どういう風なカリキュラムで進めていくかという問題もありますね。その辺は僕らも手薄なところがあって、ちゃんとしたカリキュラムを持っていないので。ロボットを広めていくためには、カリキュラムをきちんと整えていくのは課題の一つだと思っていま
す。

メンバーとはサークル外での交流もありますか?

<ロボット好きな子の居場所>
ロボロボの会は、ロボットやパソコンが好きな子、興味がある子の居場所になっていると思います。ここに来れば、話の合う人がいるので、いるだけで楽しそうです。
また、引っ込み思案だった子がロボット製作をすることによって、積極的に自分の意見を言うようになったというお話を聞いたりします。例えば、イベントに呼ばれて体験教室をする時は、子どもたちに先生をしてもらうんです。僕らはサポートに入るだけ。最初はモジモジしてるんですけどね。でも相手は数ヶ月前の自分と同じなので、「1から教えてください」って言うと、ちゃんと教えられるんです。

<子どもキャンプ>
OIST(大学院大学)で合宿をしています。OIST の中に地域連携セクションというのがあって、科学技術に関した子ども向けのプログラムを後援してくださっています。キャンプは小泉さんという方が担当しています。

今後の活動について

<高専との繋がり>
一昨年、高専とのコラボレーションをしたイベントがあります。名護小学校で体験教室を行いまして、講師は僕らでやって、沖縄高専の先生に間を取り持っていただきました。高専のロボットチームにも協力してもらいました。サークルの卒業生でも高専に通っている子たちがいるので、今後も少しずつ継続的に高専との繋がりをつくっていきたいなとは考えています。

<離島への普及>
実は、久茂地公民館の位置づけが県唯一の科学館という位置づけで建てられた施設なんです。ロボロボの会は、他のサークルと比べて活動時間が長いということは結構言われるんですが、子どもたちへの科学教育が増えていくのだったら応援したいということで、時間も優遇してもらっています。それはとても助かっています。今回、高校生も入会しているので、今後どんどんレベルが上がっていくことを期待していきたいです。
活動場所として、今は『ほしぞら公民館』を拠点に活動させていただいてますが、今後は離島地域にも普及させていきたいです。名護でも体験教室をしていますが、他のエリアにも拡げていけたら良いなと思います。学校の先生に頼らなくても続けていける仕組みづくりができたら良いなとは思っています。

取材者名今井俊二
活動歴  7年目

サークルに参加したきっかけをお教えください

2011年に沖縄で予選会をするということで、参加者を集めて欲しいという依頼を受けて動き出したんですね。その時にお手伝いをしたのが僕なんです。それで沖縄代表として4名勝ち残ったんです。4月に予選をして、日本大会が6月くらいだったんですけど、それまでどうやってサポートしていくかという時に、実はサポートする方法が何もなかったんです。その時に久茂地公民館の田端館長と相談して、大阪から来ていたロボカップの先生が体験用のロボットとパソコンを提供してくれたんです。この後は地元で考えてくれということで、器材を提供してくれたんですよ。それで僕が代表になって任意団体を立ち上げて、減免団体として認めてもらって活動を開始したのが立ち上げのいきさつです。
本職はコンサルです。沖縄県商工会連合会で地域連携コーディネータを勤めています。
たまたまロボカップジュニアに共通の知り合いがいて、ロボカップを開催するということで、仲介役をお願いされたんです。僕自身はロボットを作っていた訳ではないですけど、出身が高専なので何となく理屈は分かっているのでね、いいですよと引き受けました。

サークルを続けている理由/たのしいところをお教えください

<共有できる場所>
本の好きな子は図書館があって、サッカーが好きな子はクラブなんかがあって、自分が興味があることに対して集まれる場がある。そういう分野はいいんですけど、コンピューターやロボットの場合、特に子どもの場合そういう風に身近なところで集まれる場所がなんですよね。ロボロボの会があることでコンピューターやロボットが好きな子や興味がある子たちが集まって何かやれる、ということは良いかなと思います。プログラムを習いにいく体験教室というのもありますけど、それとはまた違った意味があるんじゃないかと思います。居場所になっていると思います。「ロボロボの会に行く=半日何してもいいんだ」っていう感覚で来る子もいますよ。
高専に行ったり、お兄ちゃんたちから話を聞くことができて、こんなこともできるんだっていう風にいろいろ刺激をもらえると思います。家族でそういった分野に携わっている人がいるとか、そういう環境の中にいたらいろんな話も聞けると思うんですけど、なかなか普通はそうもいかないので。
小学校のうちからいろんな話を聞けるのは貴重だと思います。高専の話も小さいうちに聞けるのは、進学の選択肢も広がり、情報を得るという面でも良い集い場所だと思います。ロボットに限らず、この子たちの興味の先がみんな似ているので、それも良いです。例えば、中学3年生と小学3年生が深海魚の話を延々としていたり。ちょっと興味があることに、まわりが「知ってる、知ってる」と反応してくれる、そうやって話が広がるのを楽しんでいて、ここに来ることが楽しいんだと思います。

<親子でロボットにはまる>
ロボットはお金がかかるのですが、体験用のロボットやパソコンを貸していただいていて、5年経つので結構ボロボロではあるんですが、体験用のものは好きに使っていいよという形で今のところはやっています。どうしてももっと先に進みたい場合は、自分でお金を出して改造していく、という風にお願いしています。
子どもたちが製作しているのを見て、保護者の方もはまるパターンはあります。おやじロボットを作ってる人だったり。元々はプログラマーの人だったんですけど、自分でロボットを作り始めた人もいます。ロボットに興味を持ってくれる大人が増えてくることで、教えたり サポートする人数が増えるので、それは次のステップに進みやすいと思います。

サークルでの目標やモットーにしていること

自由にさせています。端から見た時に統率ができていないと思われているかもしれません。他からはどんな風に見られてるのかなというのは素朴な疑問としてあります。
本当はもっと教えてあげた方がいいことはあると思うんですよね。体験用のカリキュラムはあるけれど、その先のカリキュラムを作れていないんです。ただ、そのためには時間的にも人的にも足りてないです。保護者の皆さんとも話し合いの中でカリキュラムの内容について話すんですが、それをどうやって作っていけるのかを考えたり話したりしていると、あっという間に1年が過ぎてしまってるという状況です。
カリキュラムを作るというのが今後の課題です。

公民館を利用して便利な所

全てにおいて、条件は良いので不満は特にありません。
久茂地公民館の立ち上がった意味を受け継がれていることも含めて、公民館でこういった科学技術に関するサークルとして優遇してもらっていることには、館長はじめいろんな方に協力・支援してもらって本当に感謝しています。

公民館を利用して改善してほしいところ。ここを良くしたらいいのにと思うところ。

施設的な面で唯一気になることがあるとすれば、新しい公民館になってから、クーラーを使う時期が制限されていることくらいでしょうか。ただ、最近は温暖化もあって、子どもたちが熱中症になっては困るということで、融通が利くようになっているので、その辺もあまり不満はありません。

取材日:2015 年1月17日担当: 平良亜弥