夏休みの親子講座「ミツバチ観察教室」について宜野湾市立中央公民館の皆さんにお話を伺った。講師の照喜名朝則さんは元宜野湾市立中央公民館館長。身近な存在だからこそ聞ける苦労話なども盛り込む事によって、農業体験にとどまらない、キャリア教育を含めた生態観察講座が実現した。
対象:宜野湾市在住の小学生とその保護者
目的:ミツバチの生態観察から蜂蜜がとれるまでを学び、キャリア教育につなげる。
特徴1:生態観察・講座にはじまり、実際に巣箱から蜂蜜を採取、食用になるまでの全工程を体験できるプログラム。
ミツバチ観察でキャリア教育
キャリア教育を含めた生態観察講座を目指した『ミツバチ観察教室』についてお話をうかがった。
以前、宜野湾市立中央公民館で館長をされていた照喜名朝則さんが、ミツバチ農園を作られた事が、この講座をはじめるきっかけとなった。講師が元館長という身近な存在だからこそ、蜂蜜を作るまでの大変さを企画に盛り込む事が出来たのではないだろうか。通常「ミツバチの観察教室」というと、ミツバチ生態観察・ミツバチ畑見学・蜂蜜の試食という農業体験が出来るというもの。この講座では、キャリア教育として蜂蜜を作るまでの失敗談を聞いたり、ミツバチの採取まで学ぶ事ができる。
照喜名さんの作った蜂蜜は、現在は道の駅などにも卸すほどになっているが、蜂の世界のルールや法則が解るようになるまでには、試行錯誤を重ねたという。
台風が近づくと、ミツバチが自分たちで蜜を食べてしまったり、よそのミツバチに蜜を奪われてしまう事もあるという。自然のものなので、ちょっとしたきっかけで巣箱自体がダメになってしまう事もあるというから企画者としてはハラハラしただろう。
「蜂蜜が作られる現場を見て欲しい」と企画した宜野湾市立中央公民館の崎原理恵さんの想いから、あえて屋外での座学と見学を行った。初夏の炎天下で、講座当日はかなり暑かったという。生産者が実際にどのような状況で蜂蜜の採取をしているのを知るには良かったのではないだろうか。
人気の夏休み講座
夏休み期間中の講座の中で、低学年児童が受講出来る数少ない講座だったという事もあり、低学年の応募が殺到。対象年齢は小学1年生から6年生だったにも関わらず抽選の結果、低学年ばかりになってしまったというのが少し残念だ。キャリア教育という意味では、中学年以上の方が良かったのかもしれないが、ミツバチ観察の様子を自由研究に出して、賞状をもらった受講生もいた。
参加者の声で一番多かったのは「生で食べた蜂蜜美味しかった!」ということ。自分で採取した蜜を遠心分離機にかけて、パンにつけて食べる。普段あたりまえに食卓におかれている食材がどのように作られているのかを知る、なかなか出来ない貴重な体験だ。
宜野湾市立中央公民館では、出来るだけ同じ講座は開催しないようにしている。「ミツバチ観察教室」は好評だったので、その後子ども会で開催。生涯学習課と密な連携がとれている公民館ならではの展開といえるだろう。PTAや抽選に外れた保護者の方からも問い合わせも多い事から、今後は追加講座を行うなども考えていきたいとの事。
宜野湾市立中央公民館
〒901-2203 沖縄県宜野湾市野嵩1-1-2
TEL.098-893-4436 / FAX.098-893-4434
取材協力:崎原理恵(宜野湾市立中央公民館)
瀬崎正敏(同上)
小禄睦子(同上)
文責:佐藤純子(NPO法人地域サポートわかさ)
取材日:2016年11月7日