南風原町立中央公民館
『南風原ふるさと発見ウォーク』

地域の史跡などをめぐる、ウォークラリー形式の野外プログラムとして、社会教育委員会議を中心にさまざまな社会教育団体が連携し実施。

対象:南風原町民
目的:史跡などを巡って南風原を歩くことで、地域の魅力を再発見し愛着をうみだす。地域住民の絆づくりを目的としている。
特徴1:4つのコースから選択して、コースごとに出題されたクイズに答えていくことで、楽しみながら地域の魅力を発見していく。
特徴2:社会教育団体等が協力連携し、プログラムを実施している。コースめぐりの後は、女性会手作りのカレーライスを食べながら、参加者どうしの交流をはかっている。

クイズ形式でめぐるまちあるき

『南風原ふるさと発見ウォーク』は、平成27年度から開始し、今年で2年目となる。南風原町民を対象にしたウォークラリー形式の野外プログラムだ。当日は、南風原町内の小・中学生とその保護者が参加し、南風原町内の字をA〜Dの4つのコースに分けて、地域の史跡等をめぐった。各コースには「5つの問題」が用意されていて、参加者はその問題の回答を探しながらまちを歩く。観光協会の方が解説してくれるポイントや、設置された看板に記載された回答を確認しながら、各史跡等に関する知識を得ていく。

例えば、Aコース(兼城)の「イチニガー」は、別名ウブイガー(産井ガー)とも呼ばれていて、お産祝い用のご飯(ウブメー)を作る水として使われたそうだ。子どもたちにとっては、ウブイガーという言葉も初めて耳にしたかもしれない。うちなーぐちや沖縄の風習に触れる機会にもなったことだろう。また、場所自体は知っていたとしても、歴史的背景を初めて知るということもある。コースに組めなかった字に関しては、紙芝居で読み聞かせをするなど工夫した。
参加者からも、普段歩かないコースをクイズ形式でめぐることで、楽しみながら新たなまちの魅力に気づく機会となった、と感想が寄せられている。

課を横断したプログラムづくり

このプログラムが開催されるに至ったのは、現在どこの地域でもみられる、青年会や婦人会、老人会等への加入率の低下が問題にあったからだと言う。地域を活性化するためにはどうしたらいいのか、各団体が参加して協議した結果、“社会教育”が必要という結論に至った。地域を知ることが地域活性につながる、そう信じて『南風原ふるさと発見ウォーク』が企画され、昨年度から第1回目がスタートした。

南風原町社会教育委員会議が主催となって実施。プログラムを支えるのはPTAや青年会、女性会等の各社会教育団体だ。事務局は、南風原町立中央公民館。会場設営から安全・救護班、誘導係、昼食班など各団体と共に役割分担をしてプログラムを実施した。プログラムの最後には女性会の手作りのカレーライスが100名を超える参加者にふるまわれた。歩き疲れた身体に地域の人が手作りしてくれた食事は、格別に美味しく嬉しいものだ。そして、その日吸収した学びをみんなで共有することもでき、この時間が実はとても重要なのではないかと感じた。
第4次総合計画での位置づけで「人もまちもきらきら育つまち」としている南風原町。公民館の役割は、地域の活性化につなげること、字からの意見を橋渡しすること。『南風原ふるさと発見ウォーク』には、地域の活性化につながるためのひとつのきっかけにしたい、という思いがつまっている。

社会教育団体等のつなぎ役として

地域のことを知り、地域への愛着をうみだし、住民同士の絆づくりを目的に、各社会教育団体が意識的にプログラムに関わる必要がある。2年目とはいえ、改善していく課題はあるが、少しでも参加者たちが楽しんで地域をめぐり、交流できる場となるよう試行錯誤している姿がみられる。
次年度もこのプログラムは継続される予定だ。さまざまな団体が関わっているということで、事務局である公民館の役割は大きい。各団体をつなぐメディエーターとして、苦労は多いと思うが、ぜひこの事業を継続してほしい。今年度実施して出てきた課題や反省点をあらいだし、次年度へつなげていく必要もあるだろう。例えば、コースの見直し。スタートを小学校に切り替え、校区をまわるような形で分ければ、外の字もまわることができるというアイディアが出ている。カリキュラムのひとつとして学校と連携することはもちろんだが、そこにクリエイティブな視点を盛り込むことで、さらにユニークなプログラムへと展開していくだろう。子どもたちの視点でまちをまわれば、教える立場と教わる立場を逆転することにもなり、大人にはない発想でまちの魅力を発見することも可能ではないかと思う。そして、これからの社会をつくるのは子どもたちなのだ。
まだ始まったばかりの『南風原ふるさと発見ウォーク』、今後の展開が楽しみだ。

南風原町立中央公民館
〒901-1113 沖縄県島尻郡南風原町字喜屋武236番地
TEL.098-889-0568 / FAX.098-888-3265

取材協力:津波古充晃(南風原町立中央公民館)
文責:平良亜弥(NPO法人地域サポートわかさ)
取材日:2016年11月17日