【報告】アートな部活動

3月26日(土)

 

先日、沖縄県文化振興会の事業報告会に参加し、「アーティストと開発する社会教育プログラム」の報告をしました。
5分間で2年間の取り組みを紹介しなければいけないので、駆け足で紹介させていただきました。

事業報告の後は、他団体とのパネルディスカッションです。
公民館館長の宮城が参加し、本事業について取り組んだ経緯や今後の展開についてお話ししました。

今回は、報告会で紹介したプレゼン資料をもとに「アーティストと開発する社会教育プログラム」の報告をさせていただきます。

まず本事業のねらいとして、ウィズコロナ時代における、クリエイティブな活動を通して新しい地域コミュニティをつくること、アートの創造性を活かした社会教育プログラムを開発し、地域コミュニティの風通しをよくすることを掲げています。

新型コロナウイルスで私たちは、様々な交流の場や機会、生活を失い、地域の弱いところやつながりの薄いところに特に影響を及ぼし、より地域の孤立化がすすみました。

つながりが薄くなったことで社会の弱いところが顕在化し、改めてコミュニティのつながりの重要性を再確認しました。このとき地域のために何かできないかと積極的動いたのは、地縁コミュニティよりも興味関心・問題意識や当事者性に基づいた新しいテーマ型コミュニティーでした。

これまでの地縁コミュニティーだけでなく、興味関心に基づく新しいコミュニティーを形成することを目的に今年度取り組んだのがこれらの取り組みです。

ダンボール部の顧問は、県内のアーティストの儀間朝龍さんです。地域の商店から廃ダンボールを回収して、レターセットやステッカーなどをつくるプロジェクトです。今年度のダンボール部は、「地域に産業を生み出す」ことをテーマに若狭児童館や学童クラブと連携し、ダンボール部商店のオープンに向けて商品制作をしました。

ポストポスト部の顧問は現代アーティストの平良亜弥さんです。

地域に設置したポストに投函されるものに対して、部員で話し合いながらお返事をするプロジェクトです。今年は公民館の休館が長引き、お手紙の投函が少なかったものの、定期的に集まり出張ポストなど自分たちからアクションを起こしながら活動しました。

ユーチュー部はの顧問はアーティストの藤井光さんです。在住外国人をはじめとする多様な背景を持った隣人の存在を伝える映像プロジェクトです。昨年度は顧問はオンライン参加で実施しましたが、今年度は念願叶って、顧問に来沖していただき対面で開催することができました。また、今回は「こども国際映画祭 那覇市魅力発信動画コンテスト」に参戦しました。

今年度から新たに始まったアート同好会の顧問は、現代美術批評家の土屋誠一さんです。中学生を対象に幅広い視点でアートを一緒に読み解いていきました。たまには近隣のホテルアンテルーム那覇へおでかけし、アート展を見るなど課外活動も行いました。

それぞれの部活動の成果として、ダンボール部は、地域の児童館や学童と連携を図ることで、子ども達の居場所づくり・体験機会づくりの場になりました。こどもたちは、ゴミがお金で売れるということに驚きながら商品制作に励んでいました。

ポストポスト部は、昨年度の部員は継続して活動し、そこに新しい部員が加わり、定期的に交流を深めました。本事業の目的とした興味関心に基づく新たなコミュニティの構築につながりました。

ユーチュー部は、外国人支援グループの協力を得られ在住外国人との交流促進につながりました。在住外国人部員からは、「ユーチュー部を通して、  コミュニケーションの機会を得たことでさまざまな部門の友達ができました。」との声がありました。

アート同好会は、アート鑑賞を通じて、批判的思考を育むと同時に、主体的に”観る”ことの意味について考る機会となりました。また、次年度行こうの中学校の部活動との連携に向けた足がかりとなりました。

昨年度に引き続き、アートな部活動の成果発表展とトークイベントをハイブリット形式で開催しました。部員の展示やダンボール部商店、那覇中学校校長先生の「部活動の現状と課題」についてのご登壇、それを踏まえたアーティスト顧問のトークイベントなど盛りだくさんの内容でした。

私たちは、これまで開発してきた部活動を将来的に学校教育の場でも展開していけないかと考えています。そこで今年度は、「生きる力を育むために~アートがもたらす教育の広がりとその可能性」と題し、学校教育の現場におけるアートの可能性や意義について話あうフォーラムを開催しました。

当日は、幅広い職業の方が参加してくださり、アートによる子どもの主体的な学びと学校教育と社会教育の連携による総合的な学びについて参加者とともに考える機会となりました。

最後にこの2年間の部活動をワークブックにまとめました。

監修に藤浩志氏を迎え、アートな部活動の実践を振り返ったレポートとともに、内外の視点から本事業の背景や成果、課題などを掘り下げました。

 

アートな部活動によって生まれたゆるやかなつながりは、新しいコミュニティを構築するうえで確かな手応えを感じました。このつながりをより確かなものへと発展していくために今回のプログラムをブラッシュアップし、さらなる社会教育プログラムの開発に着手していきたいです。

最後までご覧いただき、ありがとうございます。
アーティストと開発する社会教育プログラムは今年度で終了となりますが、今後もあらたな事業を計画していますので温かく見守っていただけると幸いです。

今後も応援、ご参加よろしくお願いします!

 

主催:NPO法人地域サポートわかさ
「アーティストと開発する社会教育プログラム」
支援:沖縄県、公益財団法人沖縄県文化振興会
「令和3年度沖縄文化芸術を支える環境形成推進事業」