ユニークなプログラムづくり講座step2 その①

7月から始まった『ユニークなプログラムづくり講座』では、公民館職員を対象に、これまでのプログラムづくりにちょっとプラスして、プログラム開発のノウハウを学んでいきます。
去った8月23日(火)、step②を実施しましたので、そのレポートをお届けします。

step②テーマ 「地域に求められているのは?ニーズや課題の見つけ方」
日時:2016年8月23日 (火)
15:00〜17:00(昼の部) /18:00〜20:00(夕の部)
講師:渡邊太(人間科学博士、大阪国際大学講師)
参加者:県内公民館・生涯学習課職員等16名

先ず最初に宮城館長からの事業の説明と前回の講座の流れを簡単に振り返りを行いました。

step①レポートはこちらから→

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次に講師の渡邊太さんに、社会調査についてお話していただきました。

ー第1部 社会調査を知るー

社会調査って何??
①“人々”が何を考え、どのように生活しているのかを探る。
②現場でデータを収集する。
③データを分析してメカニズムを推論する。
“人々”のスケールはさまざま。例えば、取り調べは個人をターゲットにしていますが、社会調査は個人を対象としていても、“個人を通して問われているのは社会”であるということが定義として重要なんだそうです。
分析においては、思い込みではなく、組織的な調査でもって確かな事実を探るということも重要!!
見えないものを見えるようにして、独断と偏見によらず、確かな事実を探る、これが大切なんですね〜☆

さまざまな社会調査について
次に、「大麻吸引者に関する調査」、「趣味と階級に関する調査」、「被災地での慰霊祭と宗教に関する調査」、「アサヒ・アート・フェスティバルに関する調査」や公式の統計資料から「少年犯罪犯罪に関する検挙率に関する調査」、「生活保護に関する調査」を事例に、それぞれの調査結果から何がみえてくるのかを詳しくご説明いただきました。
全てをここでご紹介することはできませんが、例えばフランスで実施された「趣味と階級の調査」(P.ブルデュー)について。
この調査では、経済資本を縦軸、文化資本を横軸にマッピングされた調査結果の図をみながら、解説いただきました。

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調査結果からは、階級によって好む飲食物や趣味などの趣味嗜好の差異がみられ、エリート階級が好む食事と、農業労働者や肉体労働者などの層が好む食事には傾向があるという結果が出ました。単純肉体労働者の層では、脂身のある食事を好むという結果にはうなずけました。
また、子どもの頃からの教養や所作がエレガントであることは、交渉時や示談の場で有利にはたらきます。この社会調査からは、ただ階級による趣味嗜好が違う、ということがわかるだけではなく、子どもの頃からの教養教育の在り方が社会的な地位達成に影響することがわかります。こうした調査結果の読み取りから、政策提言へも導くことも可能だということを解説していただき、調査の面白さを感じることができました。

調査にはどんな方法があるの?
調査には、さまざまな調査方法があり、その説明もしていただきました。

①量的調査
数字におきかえることができる調査です。アンケート調査は広く浅く、数を取ることができる分、浅いことしか聞くことはできません。そのため、サンプリングがとても大切になります。
例えば、選挙の世論調査では、ランダムに電話をして調査を行いますが、若い人で昼間に家庭電話に出れる人はおそらく少ないので、高齢者のサンプルに偏っている可能性が高いので、調査の際はサンプルの偏りがないかに気をつけることが大切だそうです。
イメージは、つぶつぶオレンジドリンク!!しっかり振らないと、顆粒が沈んだままで、均等にならないですよね!!

②質的調査
数値化されない調査です。狭く深くデータを収集することができますが、個別の事例を深めるので、偏っていることを前提に行わなければいけません。
数はとれないですが、一人の対象者からたくさんの情報を得ることができるのが質的調査です。相手の対応によって質問を変えることもでき臨機応変に対応できるのがこの調査の特徴です。
また、インタビューはあくまで一人に対して詳しく情報は得れますが、代表性がある(偏りがない)かはわからないので、注意が必要だそうです。

③資料調査
すでに公表されている資料を手がかりに調査を行います。現代はインターネットも普及しているのでさまざまな資料を活用することができます。
例えば、生活保護の調査について、小学校区別の生活保護率をみるだけでは、どういう状況なのかわからないが、全国1.71%、沖縄2.40%、那覇市3.64%という数字と比較することで、地区別でみたときに数値が高いのか、それとも低いのか、ということが見えてきます。
また、質的な調査(ライフヒストリー)と既存の調査(市史など文献資料)を照らし合わせることもできます。
また、アンケート調査などでは、これまでに行われたアンケートの質問内容を活用することで、同じ内容で行った調査結果と比較することができます。

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今回はここまで☆
第2部については、次回レポートいたします!!お楽しみに〜。

step2その②→