モヤモヤしていいんです、読書会。

『モヤモヤ読書会。』の前編は、“公民館構想ってなに?”をご紹介しました。
後編では、本題のモヤモヤ共有の内容をまとめています。

出てきたさまざまなモヤモヤすること。
・戦後の初期公民館構想を受けて、その後時代の変化にともない、
第三次公民館構想「公民館のあるべき姿」が出されてきて、
これからももっと公民館のあるべき姿は変わるんじゃないか?
未来を感じつつも、変わることへの不安もあってモヤモヤする。

・生涯学習課は、教育行政よりも市長部局の方が
効率が良いのではないかと思う場面が多く、
生涯学習課の役割についてモヤモヤする。

・1949年代、教育委員会に公民館が組み込まれることに
否定的だった公民館関係者。
今の公民館関係者にとっては、
逆に教育委員会から離されることでモヤモヤする。

・現在の公民館利用者が高齢になったとき、
公民館の利用者数は激減するんじゃないか。
そうなったとき、お金が入れらるのだろうか?
新しい公民館・施設になることで解決策がみえてくるのだろうか?
具体的な案はないし、正直、これからどうしようというのが、一番モヤモヤする。

・沖縄の場合は本土と違って、1970年代の第二次構想が出された後
はじめて公立公民館ができた。
学校区に1館という公民館の設置状況も全然追いついていない。
公民館的機能の話をしていても、状況の違いもあってモヤモヤする。

教育機関としての公民館
公民館が教育委員会に組み込まれたのは、1952年のこと。
1949年に社会教育法が制定されて、
社会教育施設として規定された3年後のことでした。

当時の公民館関係者は、
公民館が教育機関になることに対して抵抗感があったそうです。

教育行政は、一般行政と独立していることが前提です。
新しい社会づくりのために自治体の首長さんたちが中心となり、
町村のために公民館を設置しようとしていた矢先に、
教育行政機関とされては、公民館がまちづくりから遠のいてしまう。
また、戦後新しい学校をつくらないといけない状況の中、
学校教育に多額の資金が動き、公民館は資金不足となるのではないか。

こうした理由があり、反発があったという時代があったということを
踏まえて、こうしたモヤモヤが出てきました。

組織改正によるこれからの公民館
そして2018年12月、公民館、博物館、美術館、図書館含めて
特例として一般行政に移管しても良いという方針が出ました。
つまりは、教育委員会に置かなくても良くなるということです。
博物館については、すでに10月に文化庁(文科省管轄)に移管しています。

この方針が出たことで、公民館は文化教養の場所ではなくて、
お金儲けもできる教育的施設ということになるのですが、
教育行政の施設・機関ではなくても良いということにもなります。

これからの公民館ってなんだろう?
これからの公民館に向けて、こんな質問やアイデアなど出てきました。

・公民館には若い人たちが来ないけど、何をしているの?
若い世代に伝わるツールじゃないから全然伝わってこないと思う。

・講座をチャットとかでライブ配信するとか、
年配向けのチャット講座とかすればひとつの会話に繋がるかも。

・自分たちでチャレンジしながらやっていくというのも必要。
やってみると課題も見えて対応の仕方も見えてくるはず。

・公民館に対しては、面白い講座には行く。お客さんスタイル。

・公民館って自然なカタチで世代間をつなげる茶の間なのかもと
思う一方で、ステキな企画や結びつきが生まれている施設が他にもある。
公民館は何のためにあるのか、ずっとモヤモヤしている。

・都市化を進めてきた世代としては、
自分たち世代が壊してきたことの反省をしながら、
年寄りの役割みたいなのを地域で考えていきたい

・共同売店や昔のムラヤーだったり、お互いに助け合っていくことは大切。
グローバル化や都市化した社会の中で、元には戻せないけど、
それでも人との関係づくりはつくっていかないといけないのではないか

面白い・楽しいを入口に次へすすむ
最後に牧野さんは、
“課題解決のために何かやっているわけではない”
ということをお話してくださいました。

日常生活の中で楽しみをつくったり、
自分たちが考えたことが実現していくことの面白さを実感していく中で、
どんどん次すすむということをコツコツやっていくことが大切ではないかと。

“楽しいこと”というのは、時間を割いてでも、お金がかかってでも行くはず。

ちょっとした楽しみから始まった場や関係性の中では、
いろんな会話が生まれ、自然と地域の課題が出てくくる。
みんなでやってみようかという流れで取り組むことこそがうまくいく秘訣。
そこにさまざまな政策をのっけていくことができるとうまくいくはず。
そこに公民館の需要性があるんじゃないか、ということでした。

組織改正により、また大きく変わっていくであろうこれからの公民館。
参加者からもさまざまなモヤモヤが出され、
それに対して牧野さんからは専門的な内容までくわしくお話してもらうことで、
また別のモヤモヤが生まれて、話はとまらない読書会となりました。

実は宮城館長が一番モヤモヤしていたかもしれません。

牧野さん、読書会に参加してくださったみなさま、ありがとうございました。

モヤモヤ読書会。
2017年12月27日
会場:那覇市若狭公民館第1研修室
ゲスト:牧野篤(東京大学大学院教育学研究科 教授)
課題図書:公民館は、どう「語られて」きたのか?

後援:沖縄県公民館連絡協議会

パーラー公民館
企画・主催:NPO法人地域サポートわかさ
設計・監修:小山田徹/制作:High Times うえのいだ
支援:沖縄県、公益財団法人沖縄県文化振興会
「平成30年度沖縄文化芸術を支える環境形成推進事業」